今さらながらSUVの中でCX-3を選んで正しかったのか考えてみる
マニュアル車に乗りたくてCX-3を買って3ヶ月(17年ぶりに買い替えた車をマツダのCX-3にした理由)。CX-3の購入価格や乗り心地には満足している。しかし、この最近、新型カローラスポーツやC-HR にもマニュアル車がラインナップに追加された。CX-3の購入は先走ったのか、それとも正しかったのか今さらながら考えてみる。
1 新型カローラスポーツやC-HR GT-SPORTにMT車の設定が追加された
僕が免許を取った二十数年前は、オートマ車に比べてマニュアル車の方がエンジンの動力伝達効率が優れていて、燃費は圧倒的にマニュアル車の方が良かった。しかし、駆動系の技術改良により燃費におけるマニュアル車の優位性はもはやない。また、トランスミッションの性能が上がりマニュアル車よりもオートマ車の方が変速スピードは速くスムーズに変速する。
自動車学校の卒業生の9割以上がオートマ限定免許を取得しており、僕の会社の男性新入社員でもオートマ限定免許は当たり前となってる。当然、新車で買えるマニュアル搭載車種は減少の一途であり、スポーツカーですらマニュアルの設定がない車種もある。
そんな状況の中で、トヨタがオーリスから車名変更してフルモデルチェンジしたカローラスポーツに6速マニュアルの設定があった。また、C-HRのGT-SPORTにも6速マニュアル車ラインナップに追加された。
車を買い替えるにあたり
・現金一括で買える価格(予算は200万円)
・スキーに行ける車
・基本的に嫁と二人なので小さめの車
・マニュアル車
の条件に合う車がマツダのCX-3で、予算はオーバーしたものの乗り心地や運転したフィーリングにはとても満足している。
しかし、しかしだ!
トヨタから続けてマニュアル車が2車種出ると気になる。
もうCX-3を買ってしまったのでどうしようもないのだが、CX-3の購入を先走ったのか、それとも正しかったのか考えてみた。
2 トヨタの1.2Lターボのダウンサイジングエンジン搭載車とマツダのCX-3を比較する
新型カローラスポーツのエンジンとC-HR GT-SPORTのエンジンは同じ型式で1.2Lターボ、いわゆるダウンサイジングエンジンを搭載している。
CX-3
C-HR
カローラスポーツ
価格
グレード
216万円
20S
236万円
S-T
216万円
G”X”
全長
全幅
全高
車重
4.27m
1.76m
1.55m
1.23t
4.39m
1.79m
1.55m
1.39t
4.37m
1.79m
1.49m
1.30t
排気量
2.0L
1.2Lターボ
1.2Lターボ
出力kW(PS)/rpm
トルクN・m(kgf)/rpm
110(150)/6000
195(19.9)/2800
85(116)/5.2~5.6千
185(18.9)/1.4~4千
85(116)/5.2~5.6千
185(18.9)/1.4~4千
燃費(WLTC)
市街地モード
高速モード
12.9km/L
18.1km/L
12.2km/L
17.2km/L
12.5km/L
17.7km/L
「ダウン」「サイジング」つまりサイズ(排気量)を下げたエンジンのことである。通常2.0Lの排気量が必要となるところを1.2Lの排気量で同等のエンジン性能を確保しているのである。
「さすが一流企業のトヨタ、二流のマツダとはエンジン性能が違う!」という事ではない。
排気量が小さくなるとトルクは低下する。トルクとは「タイヤを回転させる力」のこと。低下したトルクを補うために過給ユニット(ターボ)を付けて必要な性能を確保している。
ターボを付けてまで排気量を小さくする訳は、エンジンが小さくなれば燃料の消費量が減る。すなわち、燃費が向上するメリットがある。(あと、重量税が安くなるという副産物もある。)
40過ぎの僕は、ターボ車と聞くとGT-RやWRXなど「どっかんターボ」を連想して燃費の悪い車と思ってしまうが、技術の進歩は真逆の方向に進んでいるのである。
ちなみに、マツダは古いエンジンを使っているのかと言うとそんな事はない。マツダは世界で唯一ロータリーエンジンの量産化に成功したメーカーだけあって、ダウンサイジングには向かわずSkyActiveエンジンの開発という独自の道を歩んでいる。
トヨタの1.2LターボエンジンがCX−3と比べてどの程度走るエンジンなのか、カタログスペックから推測してみる。
(CX−3のエンジン性能グラフはカタログに載ってないので、みんカラの「黒いストアブ改め魂赤CX-3のページ」さんの画像をお借りした。正確には一つ前のエンジンで若干エンジン性能が異なるが誤差の範囲ということで。)
CX-3のエンジン性能曲線
トヨタの1.2Lターボエンジンの性能曲線
この二つのグラフを見比べてもいまいち分かりづらいので、1つにまとめるとこんな感じになる。
CX-3とトヨタ1.2Lターボのエンジン性能曲線
トヨタの1.2Lターボエンジンは、エンジンの回転数が毎分1,400〜4,000回転している時に時、最大トルク185N•mのパワーを発揮する。しかし、毎分4,000回転を超えると回転数の上昇に反比例してトルクは減少するエンジン性能である事が分かる。
オートマ車の場合、一般的に2,000〜3,000回転で順次ギアが変わっていく。加速するため意識的にアクセルと強く踏まない限り4,000回転を超えて変速することはほぼない。すなわち、トヨタのエンジンは、停止状態から通常使われる回転数の間、継続して最大トルクを発揮し続けるエンジンと言える。
しかし、マニュアル車でもエンジンの回転を自動でコントロールするiMTで「ECO」「NOMAL」「SPOTS」の3つのモードの中で運転手自身がギアを選択する必要があるので、単純に2速•3速で引っ張れば気持ちよく加速していく車ではなさそうだ。
これに対して、CX-3のエンジンは、回転数の上昇に比例してトルクの上昇して毎分2,800回転の時に最大トルク195N•mとなりその後緩やかに減少するが、回転数が6,000回転になってもトルクが大きく減少することはない。
しかし、アイドリング状態から2500回転ぐらいまでは、トヨタの1.2Lターボエンジンよりトルクが小さい。事実、アイドリング状態からすぐに1速をミートしてアクセルを踏み込んでもパワー不足は否めず、性能曲線の通りの走り出しと言える。
このパワー不足の設定は、燃費性能を上げるために意図的に行っている設定ではないかと推測している。なぜなら、スピードメーターとタコメーターは、マツダが考える走行に適した適切なシフトアップのタイミングを表示する。そのタイミングに合わせて運転するとカタログスペックにある市街地13km/Lの燃費性能が実現するからである。
走行性能曲線でマツダが推奨するシフトアップのタイミングを表示するとピンク色で表示した感じになる。
CX-3の走行性能曲線
性能走行曲線は「黒いストアブ改め魂赤CX-3のページ」さんから流用
エンジン性能曲線で示した通り、CX-3は2,500回転ぐらいから徐々にトルクを感じるようになり、2,800回転で最大トルクを発揮する。上の走行性能曲線で示したように、マツダが考えるCX-3の燃費性能が最適な運転は、トルクを感じる前にシフトアップする訳だから野暮ったい感じがするのは当然と言える。
しかし、「やれない」と「やらない」は大きく違う。
トルクを感じる力強い走りをする回転数まで引っ張ったシフトアップのタイミング(黄緑色)に納まるように、ギヤを選択することができる余力がCX-3にはあると言える。
カタログスペックを見る限り、1.2Lターボのダウンサイジングエンジンを搭載した6速iMTではCX-3のように余裕のあるシフトチェンジは難しそうだ。
1.2Lターボの6速iMTの試乗報告をいくつか読んだが、予想通りのレポートだった。
1.2Lターボのダウンサイジングエンジンでは、そのエンジン特性からトランスミッションをマニュアルにすること自体無理があるのかもしれない。
3 CX-3、C-HR、カローラスポーツの標準装備を比べてみる
エンジンやトランスミッションの性能から比較した結果、CX-3の方が運転を楽しめる車であることがわかったが、廉価版のグレード装備面でも比較してみることにする。
CX-3
C-HR
カローラスポーツ
価格
グレード
216万円
20S
236万円
S-T
216万円
G”X”
横滑り防止
ブレーキサポート
誤発進抑制制御
クルーズコントール
リアパーキングセンサー
後方接近車警報
車線逸脱警報
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
15400円
×
〇
〇
〇
〇
〇
15400円
×
〇
自動防眩ルームミラー
ハイビーム自動制御
UVカットガラス
オートワイパー
〇
〇
×
〇
防眩ミラー
〇
〇
×
防眩ミラー
〇
〇
×
アルミホイール
アドバンスキー
ディスプレイオーディオ
360度バックモニター
215/50R18
〇
33000円
44000円
215/60R17
〇
〇
44000円
215/60R17
〇
〇
44000円
標準装備を見比べてみると、そう大して変わらない感じがする。
廉価版の価格帯が近いので主要装備は似通ってくるのだろう。
後は、外観や内装の好み次第というところか。
4 CX-3を選んで正しかったのか・・・結論
新型カローラスポーツやマイナーチェンジしたC-HRにマニュアル車がラインナップに並んだことから、CX-3の購入を早まってしまったのではないか・・・。
そんな思いからエンジン性能や標準装備を比較してみたところ、マニュアル仕様車に限定すればエンジン性能に余裕があるCX-3の方が楽しめる性能である言える。しかも、6月に契約して7月に納車されたCX-3 20Sだが、11月の段階でCX-3のガソリン仕様車に6速MTの設定がなくなっている。
よって、ベストのタイミングでCX-3を買ったと結論付けて間違いない!
よかった よかった。
ちなみに、マニュアル車ではなくオートマ車で比較するどうだろうか?
6速ATと無段階変速CVTの性能になってくるので、街乗りに関しては1.2Lターボのダウンサイジングエンジンに軍配が上がるかもしれない。しかし、高速の合流や山道になるとエンジン性能に余裕のあるCX-3が優勢になると思う。
いずれにしろ乗車人数や使い勝手を熟考の上、試乗してフィーリングを確認することが一番!
ところで・・・
買った後から出た車と比較して、みみっちいおっさん という事には気付かないでください。
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